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オーストラリア:反ムスリム、反ハラルの動きが広がる

オーストラリアで広がりつつあるハラル認証食品をボイコットする動きが、消費者による選択を装うようになってきている。「Boycott Halal in Australia」と「Halal Choices」の二団体はハラル認証に反対をしているが、その理由として消費者へのコストになっていることや動物保護を挙げており、認証団体がテロへの資金提供をしていると主張している。

Boycott Halalは競争消費者法を改正し、ハラル認証は製品を購入した人が払う「ユーザーペイ」方式にするよう、政府に請願することを計画している。ソーシャル・メディアを通じて行われている世界規模のキャンペーンはすでにFacebook上に5万4千人のフォロワーを持ち、「ハラル製品やサービスを利用し広告を出している企業や機関をボイコット」するよう人々に働きかけている。

Boycott Halalはハラル製品が「イスラム教拡大のためあらゆる手段で資金提供している」と主張する。

ハラル食品とはイスラム法を順守した食べ物で、家畜屠殺時には祈りを唱えながら喉を切るという手順が必要である。死んだ後には血を抜かれることになる。

「オーストラリアを代表する反イスラム機関」と自負するQ Societyも、現行のハラル認証に反対しており、ユーザーペイ方式の実施を要求している。この団体はモスクの建設にも反対しており、コーランをヒトラーの「我が闘争」に例えたオランダの右翼政治家Geert Wildersをオーストラリアに招待したりしている。

ハラル・コンサルタントであるAhmed Kilaniはアナドル通信社の取材に答え、ハラル製品の大半は輸出されていると話す。「全体的に見ればコストはごく小規模であり、たとえハラル認証のコストが消費者に負担させるとしても、ハラル認証製品の90%以上は輸出向けだ」と言う。

このため、「オーストラリア消費者が払っているのは10%だけであり、売上全体から見ればハラル認証に使われるのは0.1%にも満たない。論理的な観点や経済的な観点から言っても、ハラル製品嫌いの人たちは、認証のコストについて全く根拠がない議論をしている」と付け加えた。

Q Societyの社長Debbie Robinsonはインタビューの要請を拒否している。

Halal Choicesはニューサウスウェールズ州で農業を営むKirralie Smithが運営する。同団体のウェブサイトには毎月1万5千のユニークユーザーが訪問しており、消費者に情報を提供することで「イスラム宗教税」の支払を避けるための判断ができるようにしたいと話す。

Halal ChoicesのウェブサイトにはQ Societyと共同で制作した「ハラル認証制度を理解する(Understanding Halal Certification Schemes)」というビデオが置かれている。映像の中では、ハラル認証は「一部のムスリムの考案で作られたものであり、食品会社や無垢な消費者からお金を吸い上げようとしている」と主張している。

ビデオの中でSmithは以下のように話している。「ハラル認証団体はシャリア法に基づいており、主流派社会の一部として受け入れられたいと考えている。ハラル認証のために支払われたお金の一部または全てが、オーストラリアでシャリア法を推進するために使われている。」

Smithはイスラムに対して反対するわけではないと主張しているが、Pickering Postのブログ記事「シドニーのテロリストがムハンマドを模倣(Sydney Terrorist was Imitating Muhammad)」の中で、イスラムをイデオロギーとして嫌っていることを認めた。記事は先月12月にシドニーのカフェで17人を人質に立てこもったMan Haron Monisについて書かれたものである。

また、彼女はハラル認証が「海外テロの資金との関連性が疑われているにもかかわらず、オーストラリアの事件についてきちんとした操作がされていない」ということも、ハラル認証に対する不満となっていると主張する。

オーストラリア犯罪監視委員会はウェブサイトNew Matildaの質問に答え、「合法的なハラル認証団体が資金洗浄やテロ集団の資金源になっているという関連は認められない」と言う。

ベジマイト、Four’n’ Twenty、バイロンベイクッキー、ネスカフェ、コルゲート、ウェスタン・スター・バターなど、オーストラリアの主要食品ブランドの多くがハラル食品を生産しているとしてボイコットの対象になっている。

反ハラルのキャンペーンは、ボイコットに耐える資金力がない中小企業にターゲットを移してきている。南オーストラリア州のFleurieu Milk and Yoghurt社に対しては攻撃的なソーシャル・メディア・キャンペーンが展開され、同社は最終的にはハラル認証を諦め、エミレーツ航空との大きな案件が流れてしまった。

企業に対しハラル認証を出しているThe Islamic Society of South Australiaは、このキャンペーンを「イスラム恐怖症(Islamophobia)」であるとした、とABC Newsが報じている。

しかしハラル認証の数が減ることでオーストラリア経済にマイナスの影響が出る恐れもある。

2GBラジオに出演したChris Smithによると、ネスレ・オーストラリアは年間4.5%の成長を記録したが、製品のハラル認証を取ることでムスリム市場に参入できたことが理由の一つとしてあげられると言う。

muslimvillage.com