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イギリス羊肉業界で存在感を増すハラール市場

イギリスでムスリム人口が増加しており、羊肉業界にとってはハラールの羊肉(ラム・マトン)の売上が重要性を増してきている。

AHDB Beef & Lamb(農業・園芸開発委員会牛肉・羊肉部門)の調査によると、羊肉の売上は過去十年間で3分の1も減少していると言う。

イギリスにおけるムスリムの人口はわずか4.6%だが、羊肉市場に限ってみると、イギリス全体の羊肉消費の20%以上を支えている(ラム肉24%、マトン肉16%)。

イギリスの人口は2011年以降に3%上昇しているが、ムスリム人口の上昇は平均を上回る5.6%となっている。300万人以上のムスリムが増えたことにより、羊肉の売上減少に歯止めをかけている。

安いマトン肉はイギリス消費者にあまり人気がないのだが、価格的に求めやすくアジア料理に適しているため、これを購入するムスリムは非常に多い。

ラムの総売上は生肉と冷凍肉を合わせて、1995年から35.6%も減少しているが、最低水準を記録した2011年と比べると17.4%上昇し、84.5万トンとなっている。

AHDB Beef & Lambの2011年の報告書によると、ムスリムも第2世代、第3世代となってくると、厳格なハラール基準に従った消費パターンにも変化が現れ、緩やかになっていく傾向があるという。

第1世代のムスリムのうち94%はハラール肉のみを食べるのに対して、第2世代は90%、第3世代は81%に低下していくことが報告書で明らかにされている。

イギリスのムスリムは人口構成的に若年層が非常に多く、33%が15歳以下(国全体の平均では19%)となっており、次の世代が主な購入層になればハラール肉への需要も減少していく可能性がある

これら消費者がハラールではない国産ラム肉を買い続けるのか、それとも鶏肉など他のタンパク源に移っていくのかは分からないため、チャンスになるのか問題になるのかは今後の成り行き次第だろうと報告書は述べている。

 Farmers Weekly