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京都がドバイにPRオフィス設置 イスラム誘致に本腰の日本に現地紙注目

 近年日本国内では、中東向けの観光誘致の動きが盛んだ。京都がドバイに初のPRオフィスを設置、また関西国際空港では「ムスリム・フレンドリー・エアポート」を目指すなど、イスラム観光客に対応できるサービス・施設の充実を図っている。海外メディアはその内容を報じた。

【京都のイスラム観光客向け政策】
 京都市がドバイに設けたPRオフィスは湾岸アラブ諸国に向けた観光誘致の一環で、日本の観光当局が中東にオフィスを設けるのは初めてだという。地元紙サウジ・ガゼットによると、京都市は現地の観光・ホテル業者と連携し、イスラム観光客の文化や宗教上の違いに対応できる態勢作りに努めている。日本国内では定期的にセミナーを開催、旅行業者に「ハラール」(イスラム法上食べられるもの)や、その他宗教上求められるサービス、設備について学んでもらっているという。

 ニュースサイト『E Turbo News』は、2013年末京都市がUAE大手旅行会社を京都に招待し、文化や宿泊施設、ハラールに対応したグルメを紹介したことを報じている。現在京都市内では京懐石の老舗を始め、市内喫茶店やレストラン、また伝統的な料理旅館などでもハラールやベジタリアンメニューを提供している。

 京都市観光MICE推進室の久喜氏は、「京都イスラム文化協会監修のもと、長い時間を費やして調査、協議、研修を重ねてきた。京都はイスラム観光客をもてなす態勢を調えている」、と話した。また情報サイトを開設し、モスクの場所やイスラム教徒向けのホテル、レストランなどを4ヶ国語で紹介している。

【日本国内での中東向け観光誘致の動き】
 今まで日本は、イスラム教徒にとって食べ物の選択肢が乏しく、観光客増加の妨げとなってきた、と『E Turbo News』は報じた。近年になって改革の兆しが見られると指摘する。

 関西国際空港では、イスラム観光客のニーズに対応できる、「ムスリム・フレンドリー・エアポート」を目指している。男女別の礼拝室やハラールメニューの用意に加え、レストラン16店舗が豚肉とアルコールの使用をやめる。また日本政府は特別な手引きを用意し、ハラール食を提供するレストランについての詳細情報や、モスク、イスラム教徒に対応するサービスについて説明している。

 在ドバイ総領事館の松永大介総領事は、「日本ではハラールやモスクを取り入れて、イスラム観光客の来やすい国になりつつある。UAEや中東からの観光客を歓迎し、日本の美しさともてなしを楽しんでもらいたい」と、展望を語った。近年のビザの緩和策も観光客増加に効を奏しているという。

【観光客増加に伴うドバイとの2国間関係】
 『E Turbo News』によると、2007~2011年には35万人の日本人がドバイを訪れた。日本での中東向け観光誘致に連動して、ドバイでも日本人観光客を増やす動きがある。その一環としてドバイ政府観光・商務局(DTCM)は、東京、大阪、名古屋で説明会を実施、日本のメディア関係者に加え300以上の観光・旅行業者がワークショップに参加した。

 両国の観光客増加に伴って、2国間関係もいままでになく強いものとなっている、と『E Turbo News』は分析する。安倍首相就任直後のUAE訪問、両国間の航空便の増加、ハラールの取り入れなど、日本にとってUAEとの関係が重要なものであることがわかると指摘した。

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