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埼玉県「ハラール化粧品」市場、参入企業支援

 埼玉県は今年度、経済成長で需要が拡大しているイスラム圏の化粧品市場への企業の参入を支援する事業を始めた。

 地域産業の活性化や雇用の創出を目指し、県が独自に取り組んでいる通商政策・国際展開支援事業の一環で、3日に県内外の企業を集めた研修会を開く。

 県薬務課によると、県内には化粧品関連企業が約250社あり、業界大手の資生堂やコーセーの生産工場もある。昨年の県内の化粧品の生産高は1965億円で、2年連続全国1位を誇る。

 同課によると、国内の化粧品市場は近年、飽和状態となっており、県内の生産高もおおむね減少傾向にある。一方で、国産の化粧品は海外メーカーのものと比べて高品質で、イスラム圏からの旅行者の間で土産品としても人気になっているという。

 そこで県は今年度、化粧品関連企業の支援に1100万円の予算を充て、イスラム圏市場への販路開拓を後押しすることにした。

 ただ、イスラム圏ではハラールと呼ばれる厳しい商品規格がある。豚やアルコールの成分が入った商品の販売ができないだけでなく、豚と接触した器具を生産・流通過程で使った商品も禁止されるなど、生産管理上の課題もある。

 ハラール化粧品への関心を高めようと、県は3日、イスラム圏の化粧品市場に詳しい専門家などを招き、研修会を開催する。ハラールの研究をしている城西大の杉林堅次副学長が講演を行うほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)の担当者がイスラム圏内でも最もハラール認証が厳しいとされるマレーシア市場について説明する。県内外の企業から約230人が参加を予定しているという。

 県は今後、城西大を中心にハラール化粧品についての共同事業体を作り、産官学が一体となり、商品開発や販路拡大を進めていく考え。同課は「ハラール化粧品市場の魅力を感じ、賛同してくれる企業を増やしていきたい」としている。

 ハラール=アラビア語で「許された物」という意味。イスラム教で禁じられている豚肉やアルコールなどを使っていないことを示す。食品のほか、医療品なども対象となるが、統一的な基準はなく、国や地域によって内容が異なる。

読売新聞