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イスラム学生による交流施設 富山に 住民訪れ意見交換

 富山大に通うイスラム教の留学生らでつくる「富山ムスリムコミュニティ(TMC)」が富山市五福の同大近くで準備を進めていた交流施設「富山ムスリムセンター」が開設された。二十八日には地域住民が初めてセンターを見学し、意見交換もした。

 訪れたのは、地元町内会の男性三人で、礼拝ホールや会議室などを見て回った。この近くでは一年半前、住民の反対で礼拝施設のモスク建設計画が白紙になっていた。

 意見交換では、TMCの二人が施設設置の経緯や利用者のほとんどが学生であることを説明し、イスラム教について紹介。TMCのムハンマド・アドニン・ビン・ハミディ理事(28)は「地域とうまくやっていきたい。センターへの心配があれば教えてほしいし、地域活動の手伝いもする」と呼び掛けた。

 住民側は、自転車の駐輪方法やごみ出し、回覧板のマナーや規則を説明。町内会長の男性は「うまく運営してほしい。受けた説明は町内会でも共有する」と答えた。

 同大近くでは二〇一二年冬、モスク建設計画に住民から反対署名が届いたことがある。マゼン・サリム理事代表(38)は「前回は私たちのことが分からず、反対されたと思う。今後は話し合いやコミュニケーションに力を入れたい」と話した。

 イスラム教徒の留学生のニーズ調査などを行った金沢大の岸田由美准教授(比較・国際教育学)によると、全国では〇〇年代以降、留学生が主体になってモスクを建てる例が増えている。岸田准教授は「イスラム教は一般的に、宗教に生活が組み込まれている。金曜には男性がグループで礼拝するなど、学生が宗教と勉学を両立するには、大勢で集まれる設備が整った場所が大学近くに必要」と話した。

中日新聞