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島根大前に「モスク」 留学生ら集まり祈り

 島根県内のイスラム教徒(ムスリム)有志が、島根大(松江市西川津町)前のビルの一室を借り受け開設した、イスラム教の礼拝所「モスク」が活用されている。毎週金曜日の昼休みに同大の留学生ら約20人が集まり、メッカの方角に向かって深い祈りをささげている。

 県によると、県内在住のイスラム圏出身者は1989年には8人だった。その後、留学生の増加などで2013年には166人に増えた。

 イスラム教では1日5回の礼拝に加え、日中の食事を断ち、日没後に教徒たちが食事を楽しむ「ラマダン(断食月)」期間に集まる拠点が必要という。

 ただ、県内の公共施設は年末年始や盆期間には休業となり、夜間の貸室が少ないことなどから活動が制限されていた。

 こうした状況を受け、県内のムスリム有志でつくる「島根ムスリム教会(SMA、70人)」が中心となり12年6月、島根大正門の道路向かいにある同市学園2丁目のビルの一室を借り、開設に向け準備を進め、13年4月、県内初のモスクをオープンした。

 礼拝時に床に敷くじゅうたんや、アラビア語で書かれた聖典「コーラン」を用意した。週に一度、金曜日の昼にSMAのメンバーが集まり、礼拝している。

 留学生が礼拝者の9割以上を占めるため、昼休みを利用して訪れやすい場所を選んだ。掃除を当番制で行うなどメンバーが協力して管理、運営する。

 島根大への留学が縁で県内企業に就職した会社員、アブスアイリキ・サーレさん(40)=ヨルダン出身=は「イスラム文化を発信できる場所にしたい。教徒でなくても遠慮なく訪れて文化を感じてほしい」と呼び掛けている。

山陰中央新報