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伊賀越、「天然醸造」しょうゆを米国へ輸出 三重

 しょうゆメーカーの伊賀越(三重県伊賀市、本城高社長)は海外事業を強化する。国内シェア5割(同社推定)を占める「天然醸造」のしょうゆを9月から米国へ輸出する。さらにイスラム教の戒律に従っていることを示すハラル認証を取得し、来年には東南アジア向けの輸出も始める。2017年12月期の海外売上高を3億円まで伸ばす計画だ。

 米国向けには天然醸造しょうゆのほか、しょうゆに砂糖やみりんを加え新たに開発した和風調味料など全6商品を投入する。ニューヨーク州など東海岸に地盤を持つ中堅スーパーを通じて販売する。軌道に乗れば、カリフォルニア州など西海岸への展開も視野に入れる。

 天然醸造は昔ながらのしょうゆ製法で、アルコールの発酵を早めるための酵母などの微生物を加えず、10カ月以上かけて熟成させて造る。米国でのしょうゆの販売価格は1リットル入りで4ドル(400円強)程度。米国で一般的なしょうゆより高いが、伝統的な製法をアピールして富裕層を開拓する。

 東南アジア向けではまず15年中にシンガポールへの輸出を予定している。さらにインドネシアやマレーシアなど、イスラム教徒の多い東南アジア各国へ輸出先を広げる構えだ。来春に1000万円を投じ、ゆめが丘工場(三重県伊賀市)の建屋を拡張。調合タンクや包装ラインの新設にあわせ、日本ハラール協会(大阪市)からハラル認証を取得する。

 伊賀越の13年12月期の売上高は49億円。海外事業は中国で一部販売を始めた程度で、数百万円にとどまっていた。

日本経済新聞