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「ハラール」日本版試食 県内初認証、雄琴の旅館で 滋賀

 イスラム教の戒律に合わせた料理「ハラール」の認証を県内で初めて取得した大津市雄琴の温泉旅館「里湯昔話 雄山荘」は4日、イスラム教徒の留学生らを招き、認定を受けた料理の試食会を開いた。

 訪れたのは、立命館大の大学院で経営学や生命科学を学ぶインドネシアとバングラデシュの留学生と家族ら十七人。イスラム教のしきたりに沿って処理された牛のしゃぶしゃぶや、カニのせいろ蒸し、茶わん蒸しなどのメニューを楽しんだ。

 エルヤ・マフィーダさん(29)は「日本料理のハラールは初めてで、感動している」と笑顔を見せる一方、従業員に鳥肉の産地などを質問していた。国によっては適切に処理されていないケースがあるためだといい、国産の認証を受けた鳥肉と聞くと、安心した表情を見せていた。

 食器や調理器具が豚肉に触れるなどしても戒律に反するため、同旅館ではハラール用に別に用意している。森順一総料理長(50)は「口でハラールだと言っても、不安に思う方もいた。調理場の写真を見せるなど、安心してもらえる工夫をしたい」と話した。

◆「動向を注視」県PR強化へ

 今後、訪日外国人の有望な市場と見られているイスラム圏。県は昨年から宣伝活動を始め、訪問者増の兆しが見えている。一方、イスラム教徒の数はまだ多くなく、県内でハラール認証を取得する業者も少ないのが現状だ。

 県観光交流局によるとイスラム圏に向けては、昨夏からマレーシアやインドネシアでPRを開始。今年の一~三月には両国から、昨年同期の五倍もの七百七十人が宿泊した。担当者は「ビザ緩和や格安航空会社の就航など自然増の可能性もあるが、徐々に伸びている」と話す。

 ただ、訪れているのは中華系が多く、イスラム教徒はまだ少ないとみられる。県観光交流局の担当者は「動向を注視したい」としつつも、今秋からはPRを強化する方針。「おもてなしの一環でハラールにも対応する業者はPRしたい」と話す。

中日新聞