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「初めて日本で髪を切れた」 日本初 ムスリム向け美容室 東京・恵比寿

 ムスリムの女性が安心して髪を切れる日本初の美容室「ソルピスカ」が昨年末東京・恵比寿に開設された。これまで日本で髪を切れなかったムスリム女性たちの間で「安心してカットできる」という声が口コミで広がっている。

 人気のヘアサロンが並ぶ激戦区、東京・恵比寿。JR恵比寿駅から徒歩5分の所にある「ソルピスカ」は普段は結婚式専門の美容室として営業している。予約をしたムスリム客が来店したときは外からカット風景を見えないようにするために入口ドアのカーテンを閉めた上、パーテンションで区切り店内を完全貸切状態にする。髪を切る美容師は女性で使用するシャンプー、トリートメント、化粧品などは全て植物成分のみで作られたものでハラル対応している。また店内には礼拝できる個室も設置されている。 
 同店を運営するパシャプラス社長の木村ま美さんは以前中東のドバイとアブダビを訪れた際、現地の人から「技術の高い日本のヘアサロンを出してくれないか」と相談を受けた。これをきっかけに日本ではムスリム女性がどのように髪を切っているのか考えていたという。その後日本に住むインドネシア人の主婦から美容院に行きたいがどうしたらよいか、と相談を受けたことを機に開設を決意した。日本のサロンはどこも全面ガラス張りで外から丸見えのため「母国に帰ったときにしか髪を切れないと言われました」と木村さん。 
 利用者はイスラム圏の大使館関係者や留学生らでフェイスブックなどを通じて口コミで広まり、現在月に約20人の客がある。英語のウェブサイトも開設した。大人のヘアカット代は6480円。別に貸し切りとなるために部屋代1080円が加算される。基本利用者のみの対応だが友人や家族同伴でも来店可能だ。
 客は他人の目を気にしないで安心してジルバブ(スカーフ)をはずし、鏡に向かう。2年ぶりに髪を切ったというイ人留学生もいたという。「宗教的な理由からか眉毛カットやまつ毛パーマなどの依頼はないです」とカットを担当する大屋直美店長はいう。
 まだムスリムに限定した営業は難しいが「髪を切ってくれてありがとうと言われるのがうれしい。ヘアサロンは女性にとって憩いの場ですからくつろいでほしい」と木村さんは話した。

じゃかるた新聞