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イスラム市場に熱視線 静岡県企業、「ハラル認証」取得活発

静岡県内でイスラム市場を狙った取り組みが広がっている。ティーバッグ加工のキムラ加工(島田市)はイスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」を取得し、緑茶などのティーバッグを生産する。静岡県もイスラム市場に関するセミナーを開催して市場開拓を後押しする。イスラム市場は食品だけで60兆円以上とされる。巨大市場を狙う動きが今後も相次ぎそうだ。

 キムラ加工は島田市内の新工場で月内にもハラル認証を取得する。新工場には最新型の包装機を導入したほか、クリーンルームを整備した。2014年末をメドに稼働し、牧之原産などの茶葉を使った緑茶などのティーバッグを生産する。

 当初は国内のホテルや空港などで観光に訪れたイスラム教徒向けの土産としてティーバッグを販売。将来はアラブ首長国連邦(UAE)など中東への輸出を計画する。商品の容量や価格などは今後、詳細を詰める。

 健康食品を製造するAFC―HDアムスライフサイエンスもイスラム圏への輸出をにらみ、ハラル認証の取得を検討している。すでに大学の研究者などから認証取得に向けたアドバイスを受けており、同社の国吉田工場(静岡市)の製造ラインでハラル認証を取得する計画だ。

 健康食品に利用するソフトカプセルはゼラチンで成分を包み込んで製造する。しかし、ゼラチンが豚由来であるため、これまでハラルの取得は困難だった。同社は豚由来ではない成分のゼラチンを使ったソフトカプセルの製造を実験しており「できるだけ早期に製造の道筋をつけたい」という。

 イスラム市場が注目を浴びるなか、県も県内企業の市場開拓を後押しする。9月にはイスラム文化に詳しい静岡県立大学の教授らを招いてハラル認証などを解説するセミナーを開催。定員は100人だったが、食品メーカーや観光関係者など約200人が参加した。

 県の担当者は「今後もイスラム市場に関する同様のセミナーの開催を検討する」(マーケティング推進課)としている。

日本経済新聞