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関西の化学メーカー、食品添加物でハラル認証相次ぐ

関西の化学メーカーが調味料などの食品添加物で、イスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」を相次ぎ取得している。添加物は主に清涼飲料や即席めん向け。経済成長が続く東南アジアでのイスラム教徒向けの加工食品の需要を取り込む。国内市場が先細るなか、各社は輸出拡大を進める。

 扶桑化学工業は今年3月、大阪工場(堺市)で製造する主力のリンゴ酸の5割以上でハラル認証を取得した。リンゴ酸は炭酸飲料などに使われる酸味料で、爽やかさや味の深みを出す。イスラム圏向けの食品を製造する「台湾やタイのメーカーから問い合わせが増えてきた」という。

 扶桑化学は中国のクエン酸精製工場など2カ所でハラル認証を取得しているが、国内の製造拠点では初めて。認証を受けた製品とそうでない製品ときちんと分けるため、大阪工場内で保管倉庫を改修して対策を講じた。

 東南アジアでは清涼飲料市場が伸びているが、現地ではリンゴ酸を製造する地場メーカーが少ない。国内シェアで8割を握る同社では、成長市場を取り込み、リンゴ酸の年間出荷量の3割を占める海外輸出を伸ばす。

 日本触媒は7月、主力の姫路製造所(兵庫県姫路市)で調味料のコハク酸とコハク酸2ナトリウム、フマル酸、その原料となる無水マレイン酸のハラル認証を取得した。コハク酸2ナトリウムはインスタントラーメンなどに貝の風味を付けるために使われる。

 東南アジアではこれらの調味料を使う加工食品の消費量が急増しており、今後もイスラム教徒の多い国で需要が伸びる見込み。日本触媒は全ての生産ラインについて認証を受けたため、設備の変更は必要なかった。

 上野製薬(大阪市、上野昌也社長)では機能性甘味料などを生産するタイの工場で認証を取得。まず糖アルコールの生産工程で取り、今後は認証の対応製品を増やしていく方針だ。

日本経済新聞