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中国:ハラル業界でイメージ・チェンジへ

中国のムスリム人口は全国民の1-2%程度にすぎない少数民族で、主に寧夏回族自治区、甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区に住んでいる。

少数民族とはいえ、人口にすると2000万人を超え、ハラル食品やハラル製品を扱う中国企業や外国企業にとっては、大きな市場だ。

東南アジア企業はすでに中国への進出を進める一方で、これまで地元ムスリムの食生活を支えてきた国内企業も国境を超えて海外への進出を視野にいれている。

世界のハラル食品輸出のうち、中国は平均して年間1000億ドルほどを支えている。数字としてはまだあまり大きくなく、今後大きく成長する可能性があるといえるだろう。国内企業の中には海外市場にうまく参入していった大企業もあるのだが、多くの小規模業者はまだその存在感を示すに至っていない。

ノッティンガム大学ビジネススクールでマーケティングを教えているMuhammad Mohsin Butt助教授によると、中国は政府も企業も、ムスリムの支持を得るために努力がしているが、それがうまく行っているようだと話す。

中国は国際会議やイベントを開催したり、ハラル製造拠点のハブ・工業地帯を設置したり、ムスリム国とジョイント・ベンチャーを立ち上げたりするなど、さまざまなことに協力的な姿勢を示すことで、ハラル製品の提供に真剣に取り組んでいるというイメージを植え付けているとButt氏は説明する。

例えば、中国寧夏省国際ハラル食品・ムスリム製品フェスティバルと投資見本市は2005年から開催されており、青海省は国際ハラル食品・製品フェアを2007年から主催している。

どちらのイベントも中国のハラル製品を対外的に世界に向けて示すことにより、小規模業者を支援し、調達や販売が容易にできる機会を作ることが目的である。

また、中国前国家主席の胡錦濤氏はサウジアラビアに二度訪問するなど、イスラム諸国への通商代表団派遣を通じて、中国からムスリム世界への求愛行動が続いている。

政府がハラル食品生産のハブとして指定した寧夏省にはハラル食品工業団地まで備えている。寧夏省政府はドバイに物流センターを作り、国内企業が海外のパートナー企業とビジネス関係を結べるよう手助けしている。

マレーシアに拠点を置き、ハラル業界に対するサービスとアドバイスを提供しているPersis社のCEOであるFe Jazzareen氏によると、中国企業が持つ最大の利点はスケールだという。

「中国企業はどのようにして大量生産をするのか、そのためのコストをどのように管理するのかを熟知している。中国企業は食品だけでなく、リサーチ、試験、分析などのサービス・セクターや、医薬品、材料、化学品などの新興セクターでも大きな可能性があるのは間違いないだろう」と話す。

にもかかわらず、アジアの経済大国となった中国は、いまだに否定的なイメージに苦しんでいる。

「中国の今のイメージというのは、この市場で信頼を獲得する上でプラスにはなっていない」とノッティンガム大学ビジネススクールのButt氏は言う。

公平かどうかは別にして、中国は豚を食べる文化を持つ国であり、食品安全の面では芳しくないイメージが広がっている。

「汚染牛乳、偽物の卵、薬品など、食品関係のスキャンダルでは枚挙にいとまがない。ハラル・ロゴが本物だとしても誰がわかるんだ?」マレーシアの首都で教師をしているFarah Ali氏は言う。

中国国内のムスリムですら疑いの目を持っている中、このような先入観を変えることは難しい。昨年はじめ頃、新疆の企業数社は国内産食品をマレーシアからの輸入品だと偽っていたことがわかった。

偽装をした理由は、ウイグル地域の人びとが認証を受けた地元産製品よりも、ムスリムの多い場所で生産されたものを好むからだという。

数年前中国で汚染牛乳スキャンダルが起きた時も、新疆の乳製品業界はハラルのやり方に従っていたため、無傷で賞賛されていたのだが、現在の状況に照らし合わせると興味深いだろう。

Butt氏は、中国で生産され認証を受けた食品の競争力についても疑問を投げかけている。もし中国がハラル製品に本気で取り組むなら、長期的な視野で大規模な投資をすることが必要になる。

「重要なのは宗教よりも、マーケティングだ」とButt氏は話す。オーストラリアやブラジル、ニュージーランドなどの非ムスリム国がやったように、中国も国家のイメージを改善できなければ、ハラル産業での取り組みも影響を受けるだろう。

「これは結局のところイメージを変えるにはどうするのかということだ。政府や企業は一斉にメディア・キャンペーンを張り、信用と信頼を構築するように投資する必要があるだろう。」

歴史的なつながりは中国に味方しているとButt氏は言う。中国は預言者ムハンマドの時代から貿易や移住を通じて、ムスリム世界と歴史的なつながりを持っている。

中国文明の発展に関わってきたムスリムの豊かな歴史もあり、現代のムスリムとの関係を築く上で、好意的なシンボルとして利用することができるだろう。

しかし対処しなければならない現実的な問題もある。第一に、中国には画一化された認証プロセスがないという点である。現在では国内の人種問題委員会が省単位・県単位での規則に従い認証を扱っている。このため、各地域で別の法律とロゴが有り、消費者に混乱を招いている。

中国人民政治協商会議委員のRadil Abla氏は、国外で受け入れてもらう際にも問題になっていると話す。

「中国は食品輸出で大きな可能性を持っているとはいえ、国家規模での基準を設けなければ、ハラル食品の水準が世界的に認知されているマレーシアなど、競争相手となるアジア諸国に追い付くことはできないだろう。」

例えば中国の寧夏省が作成したハラルの基準は、サウジアラビア、エジプト、カタール、オーストラリア、マレーシアなどの7カ国でしか承認されておらず、世界征服というにははるかに及ばない。

しかしハラルの認証とロゴの問題を解決する前にも、ハラル食品業界を監督する法律を国レベルで作成しなければならず、すでに数年間も議論が続いている。

2012年10月時点で、中国の最高立法府である全国人民代表大会常務委員会は、「国務院に対し、ハラル食品の規制を早急に策定するよう要請する」旨を宣言していたが、その実施については明確な期限を設けることを避けた。

Butt氏は「ハラル業界の発展を監督し、全ての問題に対処するような中心機関を設ける必要があるだろう」と話している。

ecns.cn