ムスリム観光のブームを取り込むハラールホテル
クアラルンプール中心街のランドマークであるペトロナスタワーのすぐ横に建っているのは、マレーシアで初めてとなるハラール認証を受けたホテルPNB Perdana Hotelだ。ハラールとはイスラム法のシャリアにおいて「認められている」ことを意味し、商品やサービスに対して使われる。
イスラム教を信仰しているムスリムはマレーシアの人口の60%以上を占めており、国内外から観光客を惹き寄せているハラール観光は成長著しい産業となっている。
ハラール認証の申請は2012年以降、毎年25%から30%という劇的なペースで増加している、と認証機関の局長であるSirajuddin Suhaimee氏は話す。
PNB Perdana Hotelで調理される食事は厳格なハラールである。非ムスリムは客室内であれば豚肉やアルコールの飲食を認められているが、チェックアウト後に客室の特別な清掃作業が行われ、次の宿泊客が来るまでにハラール性を担保することとしている。
ホテル内のジムでは男女が同時に使うことができるが、午後9時から11時の間は女性専用となっている。
総支配人のIsmail Hisham Ahmad Zambri氏は「通常のホテルと変わりません」と話す。
ホテルではシャリア法学者を雇い、ビジネスが全てイスラムの原則に従っていることを確認している。その他にも従業員のトレーニングや毎日のお祈りなどを担当している。
ハラール認証を受けるためには、ホテル内のレストランやキッチンが厳格な基準に従うことが求められることになる。
「原材料から調理、包装や保管まで、ハラール製品のサプライチェーンをすべて含めたものが対象です」とSirajuddin氏は言う。
マレーシアでビジネスをするならば、認証はマーケティング手段として有効だろうと話す。例えば他の国からムスリム観光客を引き寄せることができるからだ。
2016年10月に発表されたトムソン・ロイターの調査によると、ムスリムが海外旅行で使う金額は2015年の1510億ドルから2021年には2430億ドルに増加すると予想されている。同調査によると、マレーシアはアラブ首長国連邦(UAE)についで世界で2番目にハラール観光産業が整備されていると言う。
PNB Perdana Hotelには莫大な量のルールが羅列されているわけではないが、クルアーンを思い出させるようなフレーズを見かけることがある。朝食のバイキングに小さなサインが書かれているだけである。「食べ、飲むが良い。だが浪費してはならない。神は浪費する者を嫌われる」