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デンマーク:ブルカを禁止する新法に女性が抗議

デンマークでは8月1日にブルカやニカブの着用を禁止する新法が施行され、女性による抗議が行われた。

デンマークは他のヨーロッパ諸国に追随し、イスラム教徒が使うニカブやブルカを含む、顔を隠すような衣類の着用を禁止する法律が5月に議会で成立していた。この法律に違反すると、一回目は100ポンド(およそ1.4万円)の罰金だが、最高で1200ポンド(およそ17万円)または6ヶ月以下の懲役まであり得る。

8月1日に法律が施行されると、賛成派と反対派の間で論争が広がった。

デンマークの政権与党であるリベラル政党Venstreの議員Marcus Knuth氏は、一部の保守的なムスリム女性が着用する服装が「非常に抑圧的」と主張する。

活動団体Party RebelsのSasha Andersen氏はマイノリティに対する「差別的」政策であるとして、首都のコペンハーゲンとオーフスにおいて抗議活動を計画している。

警察によると、デモに参加する人が顔を完全に隠していても罰金を課されることは無いという。しかしデンマーク警察のBenny Ochkenholt氏が公営テレビDRに語ったところによると、抗議活動に参加するまでの行き帰りで顔を隠していれば罰金が課される可能性があるとしている。

「ブルカ禁止法」として知られることになった法律を支持するグループも同様に集会を計画している。

禁止法に反対している団体Kvinder I Dialog(対話する女性)のスポークスパーソンはインディペンデント紙に対し、「大規模なデモ」が起きると話し、「不正義に対し膝を屈する」ことはないと主張する。「対象が誰であっても、このような不当な扱いを受け入れることはできないと示すことが、デモの目的だ。女性がニカブを路上で着用しているのを見ても剥ぎ取ることはせず、罰金とする可能性が高いと警察は強調している。」

この禁止法はムスリムに対して宗教の自由と価値観に制限をかけようとしているというのが彼女の主張である。

「禁止法の提案者や支持者に対して、女性が自身の身体について決定する権利があるかと聞くと、当然女性が自身や身体について決定する絶対的権利が保証されるべきだと言う。同じ人たちが顔を隠す権利を否定しているというのは、つまり矛盾と欺瞞なのだ。デンマーク政府が下した不当で差別的な決定を悲しく思う。」

「禁止法を作るために彼らが挙げている理由に反して、私たちは服装が多くの人と異なるだけで犯罪者とされ、社会から疎外・排除され、部外者とみなされるのだ」

アムネスティ・インターナショナルは「不必要でバランスの取れていない」法律だと言う。

アムネスティ・インターナショナルのヨーロッパ副局長であるFotis Filippou氏はインディペンデント紙に語っている。「全ての女性はアイデンティティや信仰を表現する服を着る自由を与えられるべきだ。この法律は特にニカブやブルカを着るムスリム女性に悪影響が考えられるだろう。」

「公共の安全という目的であれば、顔を完全に隠すベールの着用に対して一定の制限を課すことは合理的だろうが、この法律による全面的な禁止は必要でも妥当でも無く、表現や信仰の自由という女性の権利を阻害している。もし女性の権利を守ることが目的だというのであれば、完全に失敗している。それどころか、服装を選択する女性を犯罪者扱いしており、デンマークが掲げてきた自由を愚弄している」

この法律はニカブやブルカをターゲットとしていると見られているが、自転車やバイクのヘルメット、防寒用のマスクなど、例外として扱われる物も多い。「明確な目的」がある場合には顔を隠すことが認められるのである。ターバンやヘッドスカーフ、ユダヤ教徒の帽子も対象外である。

デンマークにおいて顔を完全に隠すベールを着るムスリム女性は少ない。2010年の報告書によると、人口570万人のうち女性200名のみである。

法律の提案者は近年亡命者や移民に対する法律を立案することで知られる政権与党の中道右派である。

2016年、デンマークは新規亡命希望者に対し、国内での生活資金とするために宝石や貴金属など貴重品を提出するよう求める法律を取り入れている。

力や脅迫によって、顔を覆う衣類の着用を強制した場合、罰金もしくは2年以下の懲役で罰せられる。

ヨーロッパでは、すでにデンマークと同様の法律はベルギーやフランス、ドイツなどで施行されている。

The Independent