オーストラリアのハラール事情:ハラール認証の疑問にオーストラリアの食料品評議会が回答
市場拡大を狙う企業がハラール認証を取得する動きは、年を追って広がりつつある。
ハラール認証を取得することについては、さまざまな噂が飛び交っている。これを明らかにするために、オーストラリア食料品評議会の広報官James Mathews氏に端的に質問をぶつけてみた。
Q: ある製品がハラールであるというのは、実際にはどういう意味なのですか?
Mathews氏: ハラールとはアラビア語で許されたものと言う意味で、禁止を意味するハラムと対をなす単語です。
ハラールとハラムの二分構造は何も食品に限ったわけではなく、イスラムの生活様式全般に関わるものです。
何がハラムであり何がハラールであるのか、についてはさまざまな理解の仕方があるので、認証が必要になるということです。
Q: ではハラール認証とは一体何ですか?
Mathews氏: ハラール認証とは、ある食品についてその性質および製造工程がハラールであるとして、国内イスラム評議会などの団体が保証するということです。
他の保証と同じように、通常その際には消費者にもわかるよう団体のロゴが記載されます。
これにより、メーカーが勝手にハラールであると主張しているわけではなく、独立した機関がきちんと判断しているのだということが消費者に伝わるということです。
Q: ハラール認証の業務はイスラム過激派との関連を疑う声があります。利益はどこに流れているのでしょうか?
Mathews氏: ハラール認証を行う団体が何らかの形でテロ集団とつながりがあると示しているような証拠は、全くありません。
さまざまな人々が調査をしてきましたが、その証拠は何もないのです。
オーガニック食品やコーシャー(ユダヤ教徒の食事規定)と同じく、この業務は費用が生じるものです。何も変わりありません。
どこにお金が流れているのかというのは、企業の判断によるものです。
Q: 製品にハラール認証を取得することで、オーストラリアの企業はどのようなメリットがあるのでしょうか?
Mathews氏: ハラール認証を取得することで、国内でより幅広い消費者市場を手にすることができるようになるだけでなく、中東やマレーシア、インドネシアに輸出できるようになります。
食品にハラール認証のラベルを付けることで、ムスリムが製品を購入できるようになるからです。現実的に考えて、企業はハラール認証でより大きな市場にアピールできるようになるということです。
Q: 企業やメーカーがハラール認証を取得するにはどのくらいの金額がかかるのでしょうか?
Mathews氏: 今では数多くの団体が認証を行っており市場が存在するので、一律の金額というのはなくなっています。
言ってしまえば、1ドル投資すれば5ドル儲かるといった場合、ゆっくり考える必要は無いでしょう。
Q: このサービスを提供している会社はいくつあるのですか?
Mathews氏: 私がパッと分かるのは21の団体です。営利目的のもありますし、非営利でやっているところもあります。いろいろな国に対し異なる要件を満たしているものです。
例えば、マレーシアは自らの要件を満たしている一部のオーストラリア企業による認証製品のみを受け入れています。
Q: オーストラリアの消費者が購入する際、食料品のラベルのサイズを規定している決まりなどはあるのでしょうか?
Mathews氏: これらの団体は、Australian Made(オーストラリア国内生産)やオーガニック食品、コーシャーなどの認証団体と同様に、何らかの規定を満たしていると主張する場合にはオーストラリア消費者法にしたがってラベル表示をすることになっています。
これらの企業が必要な手順を踏んでいないのにもかかわらずハラール認証を主張していたことが判明した場合、最高で110万オーストラリア・ドルの罰金が課せられます。
とはいっても、ラベルの大きさを規定する決まりはありません。
Q: これら認証を行っている団体の人々はみんなムスリムなのでしょうか?
Mathews氏: そのことは認証を行っている企業に聞いてみなければいけないでしょうが、有効な認証を行うためには何らかのイスラムの背景を持っていると考えるのが普通でしょう。