イスラム学生も安心、学食でも「ハラール」食
イスラム教徒の留学生向けに、教義で禁止された豚肉やアルコールを使わない「ハラール食」を出す学生食堂が増えている。
関東の大学などに食材を提供する大学生協東京事業連合では、和食に使えるハラール用調味料を新たに導入し、メニューの拡大を推進する。留学生増につながると大学側も歓迎している。
全国大学生協連合会によると、東京大、京都大、北海道大、九州大など少なくとも19校の生協食堂でハラール食が提供されている。留学生の多い国立大が中心だが、昨年度に早稲田大や慶応大、埼玉大、山梨大が始めるなど、私立大や地方大にも広がる。
今月26日には東大で、ざるそば、鶏の揚げ煮うどんなどの試食会が開かれた。いずれも、ハラール食の新メニュー。東大生協が加入する東京事業連合が開発した、アルコール分を含まないそばつゆを使っている。参加したバングラデシュ出身の東大大学院生(28)は「これで安心してそばやうどんを楽しめる」と味わっていた。
東大の留学生約3000人のうち、イスラム圏出身者は約250人。東大生協は、留学生の指導教員らの要望を受け、2009年にハラール食を本格導入したが、鶏肉トマト煮やカレーなどが中心で、伝統的な和食は提供してこなかった。みりんにアルコールが含まれ、しょうゆも製造過程でアルコール分が生成されるためだ。
これに対し、イスラム教徒の留学生から昨年、「和食を食べたい」との声が寄せられ、東京事業連合がタイの業者に調味料開発を依頼していた。今後も、和食メニューを拡大する計画だ。東大国際センターでは「留学生の食生活を支えられる」と歓迎する。
うどん、そばの新メニューは7月以降、東大のほか東京工業大、電気通信大の食堂でも提供予定だ。一方、神田外語大は、千葉市内のキャンパスに、アジア料理専門の食堂を新設。ハラール食を提供し、民間機関の認証も取得した。