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ムスリムをおもてなし 県内業者 観光客増見込み  長野県

 観光ビザ緩和で増えている東南アジアからの観光客を呼び込もうと、県内の観光業者などがイスラム教徒(ムスリム)対応のサービスや商品の提供を強化している。食事のメニューを切り替えたり、ホテルの客室に礼拝用のスペースを設けたり。東南アジアの経済成長で訪日客は今後さらに増えると見込み、受け入れ態勢の充実を図っている。

 海外誘客の支援事業を手掛ける「まちノベイト」(下高井郡山ノ内町)は8日、地獄谷野猿公苑近くで運営するレストラン「猿座(えんざ)カフェ」を新装オープンした。イスラム教の戒律で食べることを禁じられている豚肉を全メニューで不使用とし、店内に新設したラーメンのコーナー「ラーメン猿座」も、提供するのは鶏がらでスープを取る「鶏白湯(パイタン)ラーメン」のみ。トッピングにも鶏肉を使用している。

 猿座カフェの主なターゲットは、野猿公苑を訪れる外国人観光客。ムスリム観光客の増加を見込み、豚肉不使用に転換した。今後、イスラム教の戒律に従って処理・製造された食品を示す「ハラル」認証済みの調味料を使ったメニューも予約制で提供する。

 北安曇郡白馬村の白馬五竜観光協会も2012年から、ムスリム誘客に取り組んでいる。東南アジアで関心の高いスキーなどの観光情報をインターネットで発信し、村内の観光関係者を対象にイスラム教の生活習慣などを学ぶ講習会を開催。13年は延べ約400人のムスリム観光客を協会経由で受け入れた。

 協会に加盟する白馬サンバレーホテルは客室を改装し、専用のマットを敷いた礼拝用スペースを設置。メッカの方向を示す方位磁針も貸し出している。昨年は約50人のムスリム観光客が宿泊した。坂本守支配人は「東南アジアは経済成長も順調で、今後も観光客は増える。受け入れ態勢を整え、さらなる誘客につなげたい」としている。

 食品メーカーも対応に動いている。ひかり味噌(みそ)(諏訪郡下諏訪町)は13年1月、「ハラル」認証を受けたみそ商品4種を発売。輸出を想定して開発したが、国内での取扱量が増えており、「東南アジアからの訪日客増加で観光施設などからの引き合いが増えている」(広報室)とする。

 インドネシアとマレーシアはイスラム教徒が過半数を占める。県は、これまで中国や台湾、オーストラリアなど海外誘客の「重点市場」としていた7地域に本年度、両国を追加した。現地の旅行会社へ営業したり、メディア関係者を県内に招いたりしている。

 日本政府観光局によると、13年のマレーシアからの訪日客は前年比35・6%増の17万6521人、インドネシアかは34・8%増の13万6797人。県国際観光推進室は「より多くの訪日客を長野に呼び込めるよう、ムスリム対応についても県内の事業者をサポートしたい」としている。

信濃毎日新聞

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