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「ハラル」東北の企業注目 販路拡大など期待

 イスラム教の戒律に対応した商品であることを示す「ハラル認証」への関心が、東北の企業の間で高まっている。マレーシアやインドネシアなど輸出先として注目される東南アジアの国々にはイスラム教徒が多く、ハラル認証で販路が広がる可能性があるためだ。日本貿易振興機構(ジェトロ)などはセミナーを開き、イスラム市場の現状とハラルについて情報提供する。
 ハラルはアラビア語で「許されたもの」を意味し、製品の原料や製造過程、販売方法などがイスラム教の教えに沿う商品やサービスが対象。食品の場合、豚肉や豚由来の材料、アルコールは使えず、鶏肉などは決められた作法で処理しなければならない。
 イスラム圏は人口の増加が続いており、2030年には22億人に達するとされる巨大市場。東南アジアでは経済成長に伴い、すしやラーメンといった日本食の人気が高まっており、ハラル対応で販路拡大を目指す企業が増えている。
 こうした状況を受け、東北農政局は今月28日、ジェトロなどは9月17日に、市内でセミナーと個別相談会をそれぞれ開く。専門家らがイスラム市場とハラルについて講演するほか、イスラム圏への販路の拡大などを目指す企業の相談に応じる。
 東北農政局は「国ごとに認証の基準や方法が異なり、ハラルの考え方を理解するのは難しい部分がある。正しい知識を学んでほしい」と話す。
 ハラル認証をめぐっては、東北の地方銀行なども取引先企業など向けにセミナーを開いているが、ジェトロ仙台によると、東北で認証を取得した企業はまだ少ないという。
 ジェトロ仙台の担当者は「ハラルへの関心は高く、問い合わせも多い。一方で、ハラルという言葉が独り歩きしている傾向も見られる。手間とコストをかけるかどうか企業が判断する手助けをしたい」と話す。

河北新報