宗教的制約を解説 ムスリムもてなしセミナー 佐賀
イスラム教徒(ムスリム)の観光客をもてなす上での注意点を学ぶセミナーが26日、嬉野市公会堂で開かれた。日本アセアンセンター観光交流部長代理の神田瑞穂さんが講演し、宗教的な制約などを解説した。
来年6月に同市で東方地域都市計画住宅機構の会議が開かれるのを見据え、県観光連盟や嬉野市が開いた。神田さんは、東南アジアの観光客が経済成長とLCC(格安航空)の拡充などの影響で増え、旅行の形態も主要観光地から地方へと変わりつつあるとして「九州への旅行客も伸びると考えられる」と指摘。総人口6億人の同地域で40%を占めるムスリムの受け入れに備える意義を強調した。
その上で、イスラム法で認められた食べ物「ハラル」と、豚肉やアルコールをはじめとする禁忌「ハラム」について解説。「ベーコンや乳化剤などの豚肉由来品もダメだが、意外に抜け落ちてしまうので注意を」と呼びかけた。
また、聖地メッカに向けた一日5回の礼拝や、複数人で入る温泉を敬遠するムスリムの習慣も紹介。旅館関係者に「どの程度対応できるかを相手に示し、選択してもらうのが理想。多くのコミュニケーションが必要だが、日頃、皆さんが対応している追加リクエストと同じようなもの」とアドバイスした。
ホテル華翠苑とハミルトン宇礼志野の荒木重忠常務取締役は「ムスリムの情報がすっきりと整理できたが、温泉を利用されないのはショック。日本食や日本的な旅館への宿泊を推していきたい」と話した。