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県内食品業界、ハラール認証取得へ イスラム教徒の客に対応 徳島

 豚肉やアルコールを使わないなど、イスラム教の戒律に対応した料理であることを示すハラール認証取得を目指す動きが、徳島県内で出始めた。増加しているイスラム教徒の観光客のほか、留学生からの「食事に困る」との声に対応するためで、食品関係業界では新たな需要として期待している。
 
 阿波観光ホテル(徳島市)では、レストラン「やまもも」の天ぷら御膳やだし巻き卵、サラダなど和食の11メニューでハラール認証を受けるため準備を進めている。

 料理長らが6月ごろから、認証機関とやりとりしながら、各メニューでハラール対応するための食材や調味料を検討。天ぷらではハラール対応の油を使い、天だしには酒やみりんを入れていない。9月中に取得できる見通しとなっている。

 岡田典子代表取締役は「イスラム圏から来た徳島大の留学生がワカメうどんしか食べられないという話を聞き、ハラール認証を考えるようになった。こうした人たちに門戸を広げたい」と言う。

 仕出し弁当の製造・販売や給食事業を手掛ける「ふくなが」(同市)は、観光客向けの弁当でハラール認証の取得を目指している。豚肉を入れた冷蔵庫が使えないといった厳格なルールがあることから、ハラール対応専用のキッチンを設けることも検討している。

 福永貴仁専務取締役は「どのくらい需要があるのか、どういった具材が好まれるのかなどをリサーチしていきたい」と話している。

 ジェトロ徳島はハラール認証をテーマにしたセミナーを3月と7月に開催。食品や旅行、宿泊などの延べ約40社が参加し、関心の高さをうかがわせた。担当者は「各社がハラール認証の必要性があるかどうかを含め、情報収集している段階。県内で取得が広がるかどうか分からないが、全国的には認証を観光客の呼び込みに生かそうという傾向にある」としている。

 日本を訪れる外国人観光客は格安航空会社(LCC)の就航拡大などで増加傾向にあり、2013年に初めて1千万人を突破した。県内でも外国人の延べ宿泊者数は増加しており、イスラム教徒が6割を占めるマレーシア人は11年の70人に対し、13年は130人と2倍近くになっている。

徳島新聞