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京商、インドネシアに熱視線 海外展開へ視察団

 京都商工会議所が8月末にインドネシアに経済視察団を派遣し、将来の市場性や生産拠点としての可能性を探った。インドネシアは今後、中間所得層が急拡大する見通しで、海外展開を積極化する京都企業にとって有望な市場になりそうだ。

 インドネシアの人口は2億4千万人で世界4位。経済産業省によると、消費意欲が旺盛な中間所得層は2009年に人口の35%だったが、2020年には73%に達するという。

 視察団は、ジャカルタ市近郊のオムロンや第一工業製薬、京写の現地工場を訪問した。進出先で地産地消する「現地化」に取り組む日本企業にとっては「国内に巨大な消費地が存在することが大きな利点」(京商産業振興部)という。中国とは別の地域に拠点を設ける「チャイナプラスワン」の流れを踏まえ、投資効果の大きさを確認した。

 一方で、工場の従業員はイスラム教信者が多いため、礼拝時間などへの配慮が必要という。ラマダン(断食月)では1カ月間にわたって食事を制限するため製品の不良率が高まるケースもあるといい、労務管理の難しさも明らかになった。

 工場の自動ライン向けに画像処理検査用LED照明を製造販売するシーシーエス(京都市上京区)の中野博司アジア営業部長は「人件費の上昇などを背景に自動ライン化の動きが出始めており、今後ビジネスチャンスが広がりそうだ」との見方を示した。化粧品メーカーや酒造会社から参加した営業責任者もインドネシア市場への関心を一段と高めた。

 来年、インドネシアに1号店を開業するイオングループの現地法人からは小売市場の動向を聞き取った。ジャカルタ市内には大型ショッピングセンターが集積して競争が激化しているうえ、食品を中心に小売業の規制が厳しく、新規参入には課題が多いことが分かった。

 顧問として同行した福永晃三京商副会頭は「親日的な国で購買力があり、日本製品への信頼も高い。中国に続く有望な市場になる可能性があり、進出を検討する企業を積極的に支援したい」と総括した。

京都新聞