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ふくおかFG、取引先20社と東南アに「ハラル」視察団

ふくおかフィナンシャルグループは、イスラム教の戒律に従った食品やサービスを提供する「ハラル」ビジネスを学ぶ視察団を東南アジアに派遣した。福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の取引企業約20社と一緒にマレーシアやインドネシアへの視察ツアーを組んだ。地元企業と同ビジネスで視察団を組むのは邦銀として初めて。18億人ともいわれるイスラム市場の経済力を九州に取り込むのが狙いだ。

 視察団はクアラルンプールの郊外で開かれたマレーシア最大のハラル展示会「HALFEST」を訪れた。600社以上の企業が調味料、コーヒー、薬品、日焼け止めなど7万点のハラル認証商品を出展している。

 イスラム教徒(ムスリム)の多い国はハラル認証に力を入れており、現地への進出を目指す企業は対応を迫られている。視察ではクアラルンプールで認証取得支援事業を手掛けるハラル産業開発公社も訪問。九州企業からは「認証の基準が曖昧ではないか」「申請する会社の規模で料金が違うのはおかしい」といった質問が飛んだ。

 ハラル認証機関は各国でまちまち。ある国で認証をとっても世界中で通じるわけではなく、他の国で取り直しが必要な場合もある。審査・更新には費用もかかる。

 「ハラルが一つのブームになったことで、認証もビジネスの色が強まっている感じがする」。すでに認証を取得している佐世保市の相浦缶詰の加納洋二郎社長は足元の変化を指摘する。

 基準のわかりづらさもハラル導入の壁だ。「九州企業だから東京・大阪より東南アジアに目を向けているが、ハラルは一を知れば十わからないところが出てくる」。ハラル認証の見積もりをとったことがある豆腐販売の豆吉郎(福岡市)の宮崎太郎代表取締役は言う。「認証が本当に必要かどうか、しっかり見極める必要がある」

 今回の視察ツアーを企画した福岡銀行グローバルソリューション部の菊竹慶介室長は「例えば野菜などは認証が必要ない場合も多い。認証を取るも取らないも、両方の道があるということを含めて参加した企業に知ってもらえればいい」と話す。

日本経済新聞