飛騨牛をイスラム圏へ 県、輸出に向け体制整備 岐阜
インドネシアなどのイスラム圏に飛騨牛を輸出しようと、県は、現地での日本産牛肉の需要調査と、イスラム教の戒律に従ったハラール対応の食肉処理施設の建設モデルの策定に乗り出す。インドネシアは現在、日本産牛肉の輸入を認めていないが、解禁に向けた協議が進んでおり、輸出体制を整え、販路の拡大を目指す考えだ。
飛騨牛の輸出は、人口減による国内市場の縮小が心配される中、海外に販路を開拓しようと、2008年度から香港向けに開始した。その後、シンガポールやタイにも拡大し、昨年度は計9162キロを輸出している。
国際獣疫事務局(OIE)が昨年、日本をBSE(牛海綿状脳症)の発生リスクが、最も低い国と認定したことで、インドネシアでは輸入解禁に向けて日本との協議が加速している。インドネシアの人口は約2億5000万人に上り、県は将来魅力的な市場に成長する可能性があるとして、輸出体制を整備することにした。
イスラム圏に牛肉を輸出する際は、衛生上の条件以外に、定められた手順で祈りをささげながら処理しなければならないとされ、関係機関が証明する「ハラール認証」が必要とされる。
県は認証取得に必要な条件や機具、施設の適正な規模などを調べて、これらを満たした食肉処理施設のモデルを年度内にも策定し、飛騨牛の輸出を目指す県内業者に提供する。県は、調査の委託費など1050万円を、県議会9月定例会に提案する一般会計補正予算案に盛り込んだ。
農林水産省によると、ハラール対応の食肉処理施設は国内に3施設あり、インドネシアの基準を満たした施設が1か所、アラブ首長国連邦(UAE)とカタール両国の基準の施設が2か所。県は人口の多いインドネシアのほか、現在も日本産牛肉の輸入を認めているUAE、カタールなどへの輸出も念頭に調査する。