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イスラム金融研修が非ムスリム学生の注目を集める

イスラム金融研修の需要は非ムスリムの間でも広がりを見せており、過去7年間で4倍以上増加している。2018年までには3.4兆ドルへの倍増が見込まれている資産の行方を巡って、学生は先を争ってイスラム金融への参入を図っている。

マレーシアのイスラム金融教育国際センター(INCEIF)では2000名の学生が今年登録してコースを受講しているが、うち14%はムスリム人口の少ない国から参加しているとCEOのDaud Vicary Abdullah氏はクアラルンプールでインタビューに答えて話した。

2007年にはたったの3%だったという。

なかでも韓国、日本、アメリカからの登録が多いのだが、このような国ではまだシャリア法が導入されていない。イギリスでは西側諸国としては初めてスクーク(イスラム債券)が販売され、香港と南アフリカでは2014年中の発売が計画されている。アーンスト・アンド・ヤングの予測によると、イスラム金融機関の顧客数は昨年の3800万人から2018年には7000万人に増加すると見込まれている。

Daud氏は電話インタビューに答えて、「イスラム金融はニッチ市場から脱却し始めている。韓国や日本はこれをビジネス・チャンスと捉えており、今後成長する可能性を考えれば参加しない手はないと考えているようだ」と話した。

世界中でもマレーシア、インドネシア、そして湾岸協力会議に参加する6カ国がシャリア法準拠している主な国だが、香港やシンガポール、イギリスはイスラム金融法を導入して地域ハブとしての地位を確立しようと、その座を争っている。

オーストラリアは遅くとも2010年から金融法の導入を検討しているし、韓国ではキリスト教系団体からの反対に遭っている。日本は独自の法律を制定しているわけではないが、金融機関や保険会社の子会社が海外でイスラム記入を手がけることは認めている。アメリカではスクーク販売を認める法律はないが、シャリア法に準拠したサービスの提供をしている。

シャリア法ではギャンブルや売春、アルコール販売など非道徳的な業務に従事している企業に対して投資することを禁止している。利子の支払禁止などの教義への準拠は、学者が起用されて確かめている。

マレーシアのイスラム金融教育国際センターによると、シャリア法に準拠した金融資産は2020年までに6.5兆ドルに達すると言われており、そのためにはイスラム金融の専門家が100万人必要になる。

イギリスのダラム大学でシャリア法に準拠した金融を教えた経験があり、現在名誉教授となったRodney Wilson氏はマレーシアのINCEIFで韓国人学生や、イギリス金融機関で非ムスリムのヨーロッパ出身者に対して授業をした経験があると言う。

「従来型の金融機関や専門家の間でもイスラム金融をビジネス・チャンスと捉えている人がいるため、現在では広く受け入れられている。非ムスリム国でもスクークが発行されるなど、人気は高まってきている」とWilson氏はインタビューに答えて話した。

ブルームバーグのデータによると、世界中で販売されているシャリア債は2014年に27%増加(前年比)し269億ドルになった。バンク・ネガラ・マレーシアのデータを見ると、世界最大のスクーク市場であるマレーシアがそのうちの69%、サウジアラビアが12%、アラブ首長国連邦が6%、インドネシアが5%となっている。

非ムスリム国から留学してくる学生の多くは外務省や財務省などの政府機関から派遣されてきているとDaud氏は言う。Daud氏はバンク・ネガラと証券取引委員会が選ぶイスラム金融賞の運営委員も務めている。一部の人はシャリア法に対して誤解していることがあるので、誤解をとくためにはさらなる教育が必要だと言う。

4月にメールされた目論見書によると、香港は最大10億ドルのスクークを今年中に初めて売り出す計画である。メイバンクと法律事務所クリフォード・チャンスは今後の売り出しに向けて香港でのスタッフ研修を始めている。

ワシントンに本拠を置くピュー・リサーチ・センターによると、2010年時点における世界のムスリム人口が16億人であるのに対して、香港、日本、韓国、アメリカ、イギリスにはそのうち0.4%しか住んでいない。これに対してマレーシアは1%、インドネシアが12.7%、サウジアラビアが1.6%である。

クウェートのLiquidity Management House for Investment社のCEOであるEmad al Monayea氏は、ルクセンブルクと南アフリカは今年末までにスクークを販売する計画であると、ロンドンでのインタビューに答えて6月18日に話している。

シンガポールのコンサルティング会社Five Pillarsの社長であるRaj Mohammad氏は電話インタビューに答え、「認知度は次第に上がっている。非イスラム諸国もイスラム金融の流動性を利用して、製品の拡充をしたいと考えている」と話した。

The Daily Star