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中国:ハラール食品市場に乗り出すワケ

最新のEuromonitorのレポートによると、2030年には世界の人口の4分の1がムスリムになると予測されており、中国はこの市場に食料を売り込もうと積極的に動いている。

ドバイ商工会議所が昨年まとめた報告書によるとハラール食品市場は2018年までに1.8兆ドルに拡大すると見られている。中国企業はこの成長市場に食指を伸ばす一方で、政府は地域諸国への輸出製品を増やそうと、ハラール製品を見据えた条約を視野に入れている。

イスラムおいてハラール食品とはアルコール、豚肉、タバコ、動物性脂質などを一切排除したものを指す。ハラール肉として販売される家畜は、イスラム教のガイドラインにしたがって屠殺されたものでなければいけない。

中国がハラール食品の中心になると考える人はあまり多くないだろう。中国に住むムスリムは2600万人ほどで、国内総人口のうち2%に過ぎず、その大半は発展が遅れている新疆や寧夏などの北西部に住んでいる。

にもかかわらず中国は邁進しようとしている。シルクロードで築いた陸海両面での貿易ルートを再現しようと考える一帯一路構想により、中国はムスリム国やアラブ諸国と二国間貿易協定を結び、ハラール製品の貿易を広げようと考えているのである。

甘粛省臨夏市では、幾つもの会社がトルコやカザフスタンと貿易契約を結び、食品輸出を進めているとWant China Timesが報じている。

また、今年7月に開催された中国マレーシア・ハラール食品ムスリム認証産業協力セミナー(Sino-Malaysian Halal Food and Muslim Supplies Certification and Industry Cooperation Seminar)をはじめ、さまざまなネットワーキング会議やセミナーを開いている。

中国はハラール関連製品の貿易を支援するため、ムスリムの多い寧夏地区に呉忠ハラール工業団地を建設し218もの企業を集めるなど、ハラール食品やムスリムが必要とする製品を生産するハブを建設し、インフラを整えてきている。

中国においてハラールに関心が高まっている理由は国外からの需要だけではない。

Euromonitor International社で中国研究を担当するJoy Huangによると、ムスリム以外の中国人もこの需要を支えていると言う。

「ハラール食品は生産業者に高い基準が設定されており、健康で衛生的だと考えられています。中国では食品にまつわる問題が数多いため、ムスリム以外の消費者もハラール食品の方が安全だと考えています」とHuangは言う。

中国の食品業者も、ハラール製品の国内需要増加に便乗しようと狙っている。中国最大の肉加工業者の一つである双匯集団(Shineway Group)は早い段階でこの市場に目をつけ、2009年にハラール肉生産拠点建設のため3.1億ドルを投資している。

しかし中国ではハラール業者でさえも、食品安全問題に悩んでいる。

国内で初めて大規模なハラール認証センターである寧夏清真食品国際貿易中心(Ningxia Halal Foods International Trading Certification Center)は、ようやく2014年に設立されたばかりである。この団体はいくつかの省でのハラール食品認証が認められている。

また、ハラール認証のルールは改善されてきているとはいえ、これらの団体の事業は大半が地域レベルにとどまっており、全国的な標準は整えられておらず、法整備も行われていない。Euromonitorによると、中国においてムスリムは少数派であり、政府は数少ない消費者の宗教的な問題よりも、全体的な食品の安全性の方に注意が向いているのだという。

また、中国で数多くの食品安全問題が起きていることも、ハラール食品輸出業者の成長を妨げているという懸念もある。しかしこれは長期的な障害とはならないだろう。

内蒙古伊利実業集団(Inner Mongolia Yili Industrial Group)は中国で最大のハラール食品企業である。伊利集団として知られるこの会社は粉ミルク、殺菌牛乳、アイスクリームなどの乳製品を生産し、2014年に売上84億ドルを記録している。

伊利は7年前、乳幼児用粉ミルクへのメラミン混入の検査結果が報じられるというスキャンダルに襲われた。これにより混入が疑われた粉ミルクの大規模なリコールを実施し、公式な謝罪を発表することを強いられた。また2012年には国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)により、乳幼児向け粉ミルクに基準値を超えた水銀量が混ざっていることを指摘されるというスキャンダルに再び見舞われた。

このように食品安全問題で注目を浴びてしまったにもかかわらず、伊利集団は消費者を惹きつけるためにハラール牛乳などの新製品開発を続けており、その取組の成功は明らかである。Euromonitorの調査によると、伊利のハラール牛乳ブランドであるSatine Organic製品は2010年の1454万ドルから2014年には4億2225万ドルに売上が増加しているという。

Huang氏は今後もハラール食品業者は成長を続けるだろうと確信している。

 「認証の偽造は中国ではよく見られるのですが、ハラール食品業者が消費者を欺くためにハラール食品を偽造するというリスクをとるとは思っていません」と言う。

 シンガポールのハラール問題コンサルティング会社であるHCS ConsultantsのCEOであるFazil Hami氏はCNBCの電話インタビューに応え、世界中でハラール製品に対する需要が高まるなか、中国がうまく儲けていくと確信していると話した。

 「ハラール市場は成長しているため、中国が製造するハラール食品に対するニーズが高まるであろうことは、誰も否定出来ないだろう」と言う。

CNBC

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