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ハラール対応、県内施設本腰 イスラム誘客へ戒律重視 岐阜

 東南アジアのイスラム圏からの観光客が増加する中、イスラム教の戒律「ハラール」に対応したおもてなしで観光客を取り込もうと、県内の観光業界が取り組みを始めている。ラマダン(断食月)が終わる7月下旬からがイスラム教徒にとっての観光シーズン。これから多くの観光客が見込まれ、県も観光をもり立てようと、対策に本腰を入れ始めた。

◆食材表示や礼拝マットなど

 岐阜都ホテル(岐阜市長良福光)では、レストランで食材、アルコールの使用を表示したプレートを用意。食べられない食材があるイスラム教徒に配慮した。礼拝で使うマットも貸し出すなど、ハラールへの対応に力を入れている。

 ホテルの担当者によると、宿泊するイスラム教徒の中でもハラールを順守する程度は異なる。そのため「当ホテルとして、対応できること、できないことを示して選んでもらっている」と言う。ただ「食事と礼拝に対応できないと、イスラム教徒に宿泊先の選択肢に入れてもらえない」。完全でなくても配慮するかしないかで、差は大きいという。

 県内では、イスラム圏のマレーシア、インドネシアからの観光客が急増している。ビザが緩和されたマレーシアからの観光客は2012年の2850人から昨年は5480人に倍増。インドネシア人は12年は正確な統計がないものの、昨年は3760人で倍に増えたと推測されている。

 県観光連盟が今春、「どこの国から来てほしいか」と会員に調査した結果、1位はインドネシア。約2億4千万人の人口があり、魅力的な市場として期待されている。観光誘客には、このうち約2億人のイスラム教徒への対応が必要となるため、県観光連盟の担当者は「ハードルをクリアしていきたい」と意気込む。

 県は6月、ハラールのプロジェクトチームを設立。インドネシアへの飛騨牛の輸出や観光客への対応について議論を始めた。5、6月には古田肇知事がインドネシア、マレーシアなどを訪れ、イスラム教徒の誘客について大手旅行代理店の幹部らと意見交換した。

 日本では、大阪府や沖縄県などイスラム圏への売り込みに力を入れる自治体もあり、帰国後の会見で古田知事は「力を入れなければならないのはハラールの問題。岐阜県でも急いで取り組んでいきたい」と強い意欲を示した。

岐阜新聞